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カール品薄、惜しむ声続々 意外に低い若者の認知度、コンビニ台頭が追い打ち

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カール品薄、惜しむ声続々 意外に低い若者の認知度、コンビニ台頭が追い打ち


 明治がスナック菓子「カール」の東日本での販売を今夏に終了すると発表して以降、駆け込みで買う人が増え、スーパーなどで品薄が続いている。販売終了は売り上げ不振を受けてのものだが、ネット上では惜しむ声が相次ぎ、今後復活を望む声も強まりそうだ。

 ◆相次ぐ売り切れ

 大手スーパーのライフコーポレーションでは、5月25日に販売終了が発表されて以降、カールの販売数量が約4倍に跳ね上がった。6月も「売り切れが続いている」(広報担当者)という。同様に、いなげやでも「商品を出せば、その日のうちに売り切れてしまう」(広報担当者)状態だ。

 ツイッターなどSNS(会員制交流サイト)では「寂しすぎる!」「カールおじさん、今までありがとう」などと、販売終了を惜しむ投稿であふれている。

 カールの販売は、中部地方以東で8月生産分を最後に終了する。流通在庫などの状況にもよるが、9月には東日本の店頭からは消える見通しだ。

 カールの生産拠点は全国5カ所にあり、うち大阪工場(大阪府高槻市)など4カ所では8月から順次製造を打ち切る。9月以降はグループ会社、四国明治の松山工場(愛媛県松山市)の生産だけになる。西日本では「チーズあじ」「うすあじ」の2品に絞り販売を続ける。

 カールはトウモロコシを主原料にしたスナック菓子で1968年の発売だ。CMで流れた「それにつけてもおやつはカール♪」のキャッチフレーズとともに家庭に浸透した。

 最初に発売された味は「チーズ」と「チキンスープ」の2種類で、「菓子は甘い」というイメージを崩した。93年には「チョコカール」も登場した。

 多様な種類は味だけではない。98年、スティック型のカール「スティックチーズ」が発売された。カールは文字通り「くるりとした形」のイメージから名付けられただけに、スティック型の発売は同社内でも議論があったという。

 2001年には受験生応援商品として、“試験に受かる”をもじった「ウカール」が登場するなど、累計200種類を超えるカールが発売され親しまれた。

 しかし、ポテトチップスなどジャガイモ系の菓子に押され、1990年代には190億円程度あった年間の売り上げは徐々に減少。16年度は、最盛期のほぼ3分の1にあたる60億円にまで売り上げが減少していた。

 データ分析会社のカスタマー・コミュニケーションズ(東京都港区)によれば、16年の全国スーパーでのカールの売り上げ順位は「チーズあじ」がスナック菓子の中で19位にすぎない。

 ただ、明治はチョコレートやグミ、ヨーグルトで国内シェア1位を誇り、16年度の連結売上高は1兆2424億円。年間売上高が60億円程度のカールが東日本で販売をやめても、収益への影響は限定的だ。

 明治は3年ほど前からブランドの存続について検討に着手。販売の全面終了も一時、取り沙汰されたが、「歴史ある商品」(広報担当者)を考慮し、西日本での販売継続に至った。

 カールの販売不振の原因として考えられるのが、若者からの支持の低さだ。かつてCMに親しんだ中高年とは違い、カールの若者への認知度は意外に低いという。カスタマー・コミュニケーションズによれば、スーパーでカールを買う世代は40代が39.9%で最も多く、次いで50代の22.3%。他のスナック菓子に比べて、20代や30代の購入が少ない。

 若者の認知度が低い要因が広告宣伝の少なさとされる。明治は「ブランド戦略やコストなどを総合的に勘案した」(広報担当者)結果、14年4月でテレビCMを打ち切っている。若年層の利用が多いSNS上での宣伝も後手に回った。

 ◆コンビニが追い打ち

 そこに追い打ちをかけたのが、コンビニエンスストアの台頭だ。コンビニは、シェアが1、2位といった売れ筋の商品しか基本的には棚に置かない。

 再編が進んだコンビニ業界は、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの3強で国内の9割超を占めるが、カールを扱っているのはファミリーマートの一部店舗にすぎない。

 カールは他のスナック菓子との競争に敗れ、コンビニの棚から追いやられた。カールを手に取るためには、スーパーなどで買うしかなく、認知度がさらに下がる結果を招いた。

 しかし、東日本での販売終了の発表を機に、マスコミやSNSで多く取り上げられ、逆に注目度は高まった。

 カールは来年7月25日に誕生から50周年。「東日本での復活はないのか?」-。この疑問に明治の広報担当者は「販売終了を発表したばかりで方針に変更はない」と説明する。それでも販売が継続される西日本の売れ行き次第では、東日本で復活する可能性も否定できない。(大柳聡庸)

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